日本戦車

三式中戦車チヌとは? -もし本土決戦があったら参戦した中戦車を1/144で紹介

1945年の大戦末期、、、日本の本土には1,000輌以上の戦車が配備されていました。本土決戦用に温存されていた戦車達で、この三式中戦車チヌは、97式中戦車チハや、一式中戦車チヘに代わる主力戦車と期待されて生産が続けられていました。
97式中戦車チハと違い、連合軍のM4シャーマン中戦車にも対抗できる戦車と期待されて、開発が進みます(本当のは四式・五式中戦車の開発を進めていたが、完成が遅いため三式戦車は急造品として作られた)。1944年の後半には量産が開始され、終戦時は150輌程度が生産されていました。

そんな三式中戦車チヌの性能とは?もし、本土決戦があったら活躍できていたのでしょうか。

三式中戦車チヌの性能(スペック)

まず、三式中戦車チヌの性能から見ていきます。

火力 :★★★☆☆
防御力:★★☆☆☆
機動性:★★★☆☆

火力

主砲は九十式75mm戦車砲です。75mmクラスとしては他国より少し劣る程度の火力です。
(1943年以降、各国が75mmクラスの戦車砲を搭載した戦車を前線に繰り出しきたのに対して、日本軍は2年遅れで同クラスの戦車砲を持った中戦車を生産・配備したのだ)
この戦車砲の装甲貫徹力は1,000mで67mm、射距離500mで74mmでした。ちなみ、強力なタングステン弾を使用した場合は距離1,000mで約85mm/500mで約100mmとなります。ちなみにこの75mm砲の射撃精度は非常に高く、距離3,000mから畳一枚分の面積を狙い、初弾を命中させ乗員を驚かせました。

防御力

最大装甲厚が50mmです。大戦末期の中戦車の装甲としては不十分すぎると言えます。。ただ、日本本土のように山がちな地形だとそもそも接近戦が中心となるため、防御力を超強化するか、火力重視でも良かったのかも。載せられた人からするとたまりませんが、、、

機動力

最高速度は38 km/hでした。九七式中戦車と同等の水準です。

三式中戦車チヌの戦歴

本土のどのように運用されていたか?

三式中戦車は、日本本土に温存され、歩兵支援として敵が戦車を繰り出してきた場合の逆襲用として使われる予定でした。そのため、前線には歩兵と対戦車砲を配置し、三式中戦車は陣地の後方にて待機する運用方針でした。
1945年4月23日の『国軍新兵器便覧』より

三式中戦車チヌの約150輌の完成車両は1945年春以降、本土決戦用の内地の戦車部隊(戦車第一、第四師団および独立戦車旅団)にて配備されました。他にも、生産のため、少年戦車兵学校にも派遣されました。三式中戦車チヌの運用教育が始まったのは1945年7月頃からとなります。

もし、三式中戦車チヌが本土決戦に参戦していたら

・本土にて温存される三式中戦車チヌ(1/144)

日本本土決戦(日本軍:決号作戦、連合軍:ダウンフォール作戦)
もし、日本が1945年8月に終戦宣言をしていなかったら、歴史資料によると本土決戦は1945年秋から始まったことでしょう。
連合軍側は、1945年11月1日に日本本土への上陸が検討されていました。計画は2段階に分かれ、第一弾では九州への上陸、第二弾では関東平野への上陸を行い、日本本土への進行を進める予定でした。

本土決戦時の戦力

連合軍側

海上部隊は空前の大規模であり、アメリカ軍とイギリス軍をはじめとした連合軍は以下の会場戦力を活用する予定でした。(多すぎ、、、)

海上兵力
空母42隻
戦艦24隻
駆逐艦400隻以上

陸上戦力
史上最大の作戦と呼ばれたノルマンディー上陸作戦を大きく上回り、九州だけで70万人を収容する基地を建設するほか、関東での上陸では湘南海岸に30万人、九十九里海岸に24万人、予備兵力合わせて107万人の兵士と1,900機の航空機という空前絶後の大戦力となっていました。。。。

日本軍側

一方の日本軍側の戦力は次の通りです。あれだけ空襲を受けていながらも、こちらも数だけでは負けていません!ただ、実際には装備の充足率は低かったようです。

海上兵力
戦艦1隻(長門)
空母4隻(隼鷹・葛城など)
重巡洋艦2隻(利根など)
軽巡洋艦3隻(鹿島など)
駆逐艦40隻(雪風・初霜など)
潜水艦41隻(伊400・伊401など)
特攻舟艇3800隻(震洋など)
各種の特殊潜航艇800隻
※ただし、重巡洋艦以上の大型艦艇は燃料不足や大破着底により、作戦行動不能

航空兵力
約10,000機(こんなにあったのか、、、一説には1,300程度とも)

陸上兵力
陸軍軍人および軍属
約315万人
海軍軍人および軍属
約150万人
国民義勇戦闘隊
約2800万人

戦車
1,000輌以上

ちなみに、次の文章にもあるように、日本軍も連合軍の上陸は秋からであることを察知していました。

わが本土攻略開始時期、方面及び規模などはなお予断を許さないが、わが、空海武力の打倒、空海基地の推進、日満支の生産及び交通の徹底的に破壊などにより戦争遂行能力の打倒し、大陸と本土との兵力機動を遮断し、そのうえ、十分な陸兵を集中指向を整えたのち、決行するのが至当な順序であろう。その時期は今後の情況により変化するが、本年秋以降は特に警戒を要するものと思考する
– 戦史叢書『本土決戦準備1関東防衛』防衛庁防衛研修所戦史室著

日本本土決戦での、三式中戦車チヌの戦い方

・前線へ向かう日本軍戦車隊イメージ(1/144サイズ)

話が大きくそれちゃいましたが、三式中戦車チヌは本土決戦時160-200輌程度が実践投入可能であったと想定されます。そして、使用用途主に戦車戦です。なのでアメリカのM4中戦車が中心の部隊と戦闘を行い、運が悪ければM26パーシング重戦車との戦闘となったことでしょう。

三式中戦車はの性能では、アメリカ軍の戦車に対し、戦車本来の機動戦闘を行うことは困難であることが想定されました。最適な運用方法としては、あらかじめの戦車壕(砲塔だけ出して射撃できる様な土盛り)を作り戦車をそこに忍ばせて置き、敵戦車を十分ひきつけたのちに射撃開始、敵戦車や航空機からの反撃が来る前に陣地転換し射撃継続、というような運用が考えられます(日本の地形にもあってますし)。

三式中戦車の砲の威力不足は軍内部でも認識されていたため、攻撃力を増強した改良型も計画されていました。

v.s. M4シャーマン中戦車

アメリカ軍はM4シャーマン中戦車は、ドイツ戦車相手には圧倒的に不利でしたが、太平洋では”無敵”でした。47ミリ新型砲を搭載した九七式中戦車”チハ改”でも、M4中戦車・シャーマンには太刀打ちできませんでした。

まず、三式中戦車チヌがどこまで近づけば正面からM4シャーマン中戦車を撃破できるかですが、M4中戦車の防御力として、正面装甲は76-88mmあります。三式中戦車チヌの主砲の装甲貫徹力は1,000mで67mm、射距離500mで74mmです(タングステン弾を使用した場合は距離1,000mで約85mm/500mで約100mm)。なので、正面からM4を撃破するには500mm以内に近づく必要がありますね。。。ちなみに、側面に関しては2,000mから貫通でき、砲塔側面も距離1,600mから破壊できました。

1945年5月に参謀本部と教育総監部が示した『戦車用法』では次のように書かれています。

三式中戦車は六〇〇メートルにおいて、M4戦車の正面を貫通しうるも、命中角の関係上その公算は僅少にして、側面及び背面を攻撃するを要する事多し

では、M4シャーマン中戦車の火力だとどこまで三式中戦車チヌは耐えきることができるのでしょうか。M4シャーマン中戦車の主砲は75mm砲か76.2mm砲でした。それぞれの火力として、75mm砲は2,000mで66mm、1,000mで84mm装甲厚を貫通でき、76.2mmだと110mmを貫通できます。対する三式中戦車チヌの前面装甲は50mmなので、2km先からでも撃破されますね。。。。。

v.s. M26パーシング重戦車

パーシングが相手となるとさらに不利となります。三式中戦車の最大装甲厚は50mmであったため、2km先どころか、砲が当たれば三式中戦車チヌの撃破は可能でした。一方で三式戦車では”500m以内かつ側面”を射撃することでしか有効な打撃を与えることはできないため、厳しい戦いとなります。

1/144サイズの三式中戦車チヌ

1/144(144分の一サイズ)という小ささでも、
三式中戦車チヌは、1/144戦車界隈では有名なワールドタンクミュージアムやマイクロアーマーで販売されたことがなく、手に入れることが難しい戦車です。

1/144 塗装済み完成品

アトリエインフィニティー製

アトリエインフィニティーでは、1/144の塗装済み完成品と、塗装なしキットの両方が販売されていています。特に、1/144の塗装済み完成品はキットのフォルム、塗装品質と申し分がなく、これまで見てきた1/144サイズの中でも1、2を争うほどの品質だと思います。唯一欠点をあげるとすれば、その塗装が少しはがれやすいので、ウェザリング等でメンテナンスが必要が場合があることでしょうか。ただ、これは経年劣化による点も大きいので仕方ないかな。。

アトリエインフィニティーではバラ売りで個々の1/144サイズの戦車を変えるため、お金があれば同じ種類の戦車をずらっと並べ、戦車師団なんのも作れます!(いっぱい集めたい、、、)

・1/144 三式中戦車チヌ

・1/144 三式中戦車チヌ 五式7.5Cm戦車砲搭載型
これは、三式中戦車チヌの攻撃力を問題視していた陸軍が、三式中戦車の車体に無理やり五式中戦車の戦車砲を積み、火力を強化したタイプです。

1/144 半塗装済み組み立てキット

エフトイズ製

1/144サイズで、すでに塗装がされていて組み立てやすいキットとなっています。組み立て型なので細かく再現されている一方、少し塗装の質は下がるといった感じでしょうか。ただ、1/144の中では値段もお手頃なので(今は上がっているかも、、)手に入れやすいキットです。

<三式中戦車>

車体長:   5.73m
全幅:    2.33m
全高:    2.61m
全備重量: 18.8t
乗員:    5名
エンジン:  統制型一〇〇式 4ストロークV型12気筒空冷ディーゼル
最大出力: 240hp/2,000rpm
最大速度: 38.8km/h
航続距離: 210km
武装:    三式38.4口径7.5cm戦車砲×1 (70発)
九七式車載7.7mm重機関銃×1 (3,670発)
装甲厚:   8~50mm