イギリス(英国)戦車

1/144 バレンタイン歩兵戦車 -強いわけでもないのに評判が良かったのはなぜ?

実はイギリス軍の中で最良の戦車と呼ばれている戦車がこのバレンタイン歩兵戦車。イギリス軍だけでなく、援助で貸与したソ連兵からも好評。そのためか、合計で8,000輌以上も生産されました。
でも、実は性能的にはそこまで高いわけでもなかったのです。防御力では1世代前のマチルダⅡ歩兵戦車のほうが高く、火力も不評の2ポンド方でした。そんな戦車がなぜ好評だったのか?今回はバレンタイン歩兵戦車の魅力を紹介します。

バレンタイン歩兵戦車の性能(スペック)

いたって平凡な性能です。そりゃあ日本戦車よりも優秀ですが、ドイツ戦車相手だと多少不利といったところ。

火力 :★★☆☆☆
防御力:★★★☆☆
機動性:★☆☆☆☆

火力

主砲はボムボム砲とも呼ばれた2ポンド砲。(イギリス軍の砲はすべてポンド表記で、2ポンド砲とか、6ポンド、17ポンド砲様々あった。)
装甲貫徹力は1,000mで38mm、射距離500mで53mmであるため、初期のドイツ軍主力戦車の装甲30mmと比較しても十分に撃破できうるものですね。

防御力

最大装甲厚は65mで、1941年から前線に参加した戦車としては、比較的防御力は高めです。イギリスの歩兵戦車らしく重装甲ですね。

機動力

最高速度は24km/hなので遅いですね。これもイギリス歩兵戦車の特徴で、歩兵の行進速度に合わせられれば良いので、これでよかったのです。

じゃあなんでこんなにバレンタイン歩兵戦車の評価が兵士の間で良かったのか?

それは「機械の信頼性の高さ」と「防御力の高さ」にあります。
背景に、当時の戦車の稼働率は本当に低かったのです。稼働率が半分なんてこともざらで、”戦車が稼働する”ということそれ自体が価値だったのです。
また、戦車の防御力の高さは生存率の高めるため、兵士からの評判は高くなります。

バレンタイン歩兵戦車の戦歴

北アフリカ戦

バレンタイン歩兵戦車の初陣は北アフリカのクルセーダー作戦です。
当時のイギリス軍はドイツ軍からエジプト国境付近まで攻められて、イギリス軍の2度の反撃作戦も撃退され、3度めの正直、起死回生の攻勢がクルセーダー作戦でした。

・枢軸国軍の戦力
兵力119,000(ドイツ兵65,000 イタリア兵54,000)
戦車414輌
航空機342機

・連合国軍の戦力
兵力118,000
戦車738輌
航空機616機

全周60mmの装甲厚という防御力の高さと、評判は悪いものの2ポンド砲でもドイツ戦車を撃破することは可能ではあるため、Ⅱ号戦車やⅢ号戦車が相手なら十分に戦えるレベルでした。バレンタイン歩兵戦車は6-700m以内まで近づけばⅢ号戦車の撃破が可能で、Ⅲ号戦車も500mまで近づけたバレンタイン歩兵戦車の装甲が有効射程に入るので、互角の戦いです。(Ⅳ号戦車が長身砲塔を出してきた場合、確実に不利な戦いになります)

ただ、砂漠では(まぁ砂漠以外でも)2ポンド砲は十分ではなく、歩兵や陣地攻撃用の榴弾を撃てませんでした。そのため、隠れた歩兵や要塞攻撃ができず、「歩兵支援ができない歩兵戦車」となっていました。。。

アフリカ戦線でのバレンタイン歩兵戦車は、損害を出しつつも砂漠地帯の信頼性の高さから好評でした。2,000kmを故障なしで走破した戦車もあるほどです。
1942年から徐々にアメリカ戦車のM3やM4を支給されるようになり、相対的に性能の低いバレンタイン歩兵戦車は第一線から身を引くこととなります。1944年には最前線には配置されなくなりました。

東部戦線


バレンタイン歩兵戦車はレンドリース用(ソ連貸し出し用)として、合計3,332輌もの車両がソ連軍に対し引き渡されました。モスクワ攻防戦の1941年11月25日から配備がはじまります。

この戦車の信頼性の高さはソ連兵の間でも人気で、1944年に前線から身を引かせた西側とは違い、1945年の満州侵攻にも参加するなど、終戦まで使われ続けます。

独ソ戦の初期には主に南部地域において用いられたが、これはイラン方面から送り込まれる連合軍の補給線があったためである。特に、カフカース方面ではこれらソ連以外で生産された戦車が戦力の7割以上を占めていました。

バレンタイン歩兵戦車の評判が高かったため、イギリスは新たなレンドリース用戦車として新型のクロムウェル巡航戦車を提案したが、ソ連はこれを拒否し、引き続きバレンタインの供与を希望しています。

バレンタイン歩兵戦車の派生型

ビショップ25ポンド自走砲

バレンタイン歩兵戦車の車体に、歩兵・陣地攻撃用の25ポンド砲を搭載した自走砲です。北アフリカで実戦に投入されたが、バレンタイン歩兵戦車と比較して評価は低い代物でした。
理由として、装甲で主砲を覆ってしまったせいで射程が短く、有効に活用することができないことでした。そのため、イギリス軍は地面に傾斜路を作って、その上にビショップ自走砲の車体を乗り上げ、車体を斜めにすることで無理やり有効射程を伸ばして何とか活用していた。。。それでも、敵が移動すると別の傾斜路に車両を移動しなければ射界に入れることができず、目標に追随するのが困難たった。。

1/144 ビショップ25ポンド自走砲

北アフリカ戦後は、主に乗員の訓練用として利用されました。1943年7月に行われたシチリア島上陸作戦を最後に実戦から退いています。

1/144サイズのバレンタイン歩兵戦車

1/144(144分の一サイズ)という小ささでも、バレンタイン歩兵戦車の形はきれいに再現されていますね。バレンタイン歩兵戦車は、ワールドタンクミュージアムやマイクロアーマーで販売されたことがなく、1/144サイズで手に入れることが難しい戦車です。

1/144 塗装済み完成品

Panzer Depot製 1/144 バレンタイン歩兵戦車

Panzer Depotでは、1/144の戦車の完成品を扱っています。海外の方(おそらく個人?)が制作・販売をされていて、英語での注文になります。(日本まで仕入れた方がヤフオク等で販売されているケースもあります。その分少し高くなる。)

お金があれば同じ種類の戦車をずらっと並べ、戦車師団を作りたいですね!

<ヴァレンタインMk.II歩兵戦車>

全長:    5.41m
全幅:    2.629m
全高:    2.273m
全備重量: 16.0t
乗員:    4名
エンジン:  AEC A190 直列6気筒液冷ディーゼル
最大出力: 131hp/1,800rpm
最大速度: 24.14km/h
航続距離: 145km
武装:    50口径2ポンド戦車砲×1 (60発)
7.92mmベサ機関銃×1 (3,150発)
装甲厚:   7~65mm

<ヴァレンタインMk.III歩兵戦車>

全長:    5.41m
全幅:    2.629m
全高:    2.273m
全備重量: 16.0t
乗員:    4名
エンジン:  AEC A190 直列6気筒液冷ディーゼル
最大出力: 131hp/1,800rpm
最大速度: 24.14km/h
航続距離: 145km
武装:    50口径2ポンド戦車砲×1 (79発)
7.92mmベサ機関銃×1 (3,150発)
装甲厚:   7~65mm